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双極性感情障害をめぐる動向

薬理学的カルヴィニズムPharmacological Calvinismという奇妙な表現を用いたGerald L. Klermanは1981年に双極性障害を次の6からなる下位分類にカテゴライズしました。

■古くからの分類である(これが現在のDSM-IV-TRに引き継がれています)双極性障害のI, II型
■双極性障害III型 : 薬物療法によって躁状態ないしは軽躁状態を呈するもの
■双極性障害IV型 : いわゆる循環気質に基づく障害
■双極性障害V型 : 双極性障害を家族歴にもつうつ病
■双極性障害VI型 : 反復性躁病

これから20年経ってAkisalとPintoは次の8タイプへの分類をおこなった。


■双極性障害1/2 : 分裂-双極性障害
■双極性障害I : 旧躁うつ病
■双極性障害I I/2 : 遷延化軽躁状態を伴ううつ病
■双極性障害II : 僅かな極軽度の躁病相を伴ううつ病
■双極性障害II I/2 : 循環気質の傾向をもつ者にみられるうつ病
■双極性障害III : 抗うつ剤や他の治療似よってひき起された軽躁状態を伴ううつ病
■双極性障害III I/2 : アルコール依存あるいは濫用に伴う気分の変調
■双極性障害IV : 発揚性気質者にみられるうつ状態


そしてDSM V(2013年刊行予定)では、IV判にみられるI型II型の他にII I/2型 : 循環気質者にみられる障害、III型 : 諸治療によりひき起された躁状態、軽躁状態を包括、IV型 : 発揚者の記述が予定されているとのことです。

そこでは双極性障害の概念の拡張が主張され、障害、人格、気質といった異なった単位ごとに双極性スペクトルという用語のもとに再分類が計られるそうです。

双極性障害のスペクトルは近年拡大されてきており、循環気質と発揚者、季節性障害、短期化傾向についても包括して扱われるようになってきています。こうした双極性スペクトルに属する障害の諸カテゴリーはこれらを同一の治療方法で改善させることができるとするものでもなく、重症度を表すものでもないようです。

さらにはKleine-Levin症候群(この小児神経科の先生のURLを参考にしてくださいl)も双極性障害と看做されるようです。

双極性障害の非定型のものとして(どんどん非定型ナニガシが増えて行くと分類そのものが瓦解します。フーコーの『言葉と物』の冒頭におけるボルヘスの中国の百科事典の動物の分類からの引用のさらなる引用、a.皇帝に属するもの、b.香の匂いをはなつもの、c.飼い馴らされたもの、d.乳呑み豚、e.人魚、f.お話に出てくるもの、g.放し飼いの犬、h.この分類自体に含まれているもの、i.気違いのように騒ぐもの、j.数えきれぬもの、k.駱駝の毛のごとく細の毛筆で描かれたもの、l.その他、m.いましがた壷をこわしたもの、n.とおくから蝿のように見えるもの)の様相を呈してきました。さらにはhはトートロジックですが、非定型ナニガシは「この分類自体に含まれないもの」となりますからパラドキシカルです)一日20時間にも達するかなりの過眠のサイクル、過食、刺激性、指南力障害、幻覚、急性妄想突発、性欲亢進(この傾向の制止不能)といったものによる行動上の障害、エネルギーの全般的欠如、情緒欠落そしてひきこもりで特徴づけられています。同様に、しばしば音や光に対する過敏も挙げられます。多くのケースにおいて、これら急性症状は数日から数週におよび、時とともに目立たなくなり、30日ほどで完全に消失するとされています。


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