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≪漢方について≫

漢方においては証という概念が重要です。
手元にある『漢方用語大辞典』(創医会学術部主編)によれば、
証(しょう)とは@症候の意味。たとえば、頭痛、腰痛、下痢など。
A随証治療とか、証に随って治すとかいう場合の証のこと。病人のあらわすいろいろの症状を、漢方独自の診断方法によって、総合観察して、その病人に葛根湯で治る確証があれば、その病人には葛根湯の証があると診断し、小柴胡湯で治る証があれば、小柴胡湯の証があると診断する。病名の代わりに、処方名の下に証の字をつけて診断名とする。
B体内の病状が外にあらわれたもの。事物には、これに対した証がある。医術の五科七事の一つ・・・・とあります。

しかじかの患者さんではどのような方剤にするかという点で、Aが重要です。
メンタル系の治療に漢方を利用するとするならば、たとえばデプレッションにはしかじかの方剤、パニック障害にはしかじかの方剤とはならないのであって、病気もそれに患っている患者さんの一部分と看做して、その患者さんの全体像に適した薬を選ぶ(洋の東西を超えてこのようなオーダーメイド的治療が医道の本道なのでしょうが、ICDや保険請求病名とは相容れないことは確かです)といった精神はたとえば抗うつ剤の選択にあたっても大切なのだと小生は思っています。

以上は前置きですのでここからお読みいただいて結構です。

まず、皆さんが漢方薬に対して抱いているかもしれない疑問を想定して、それにお答えすることにします。

Q. 漢方薬は保険適用となっていないので、漢方(漢方薬による治療を漢方と呼びます)は高額なものになるのでは?

A. 漢方薬専門メーカーが発売している約150種類の医療用漢方エキス剤注)は医師の処方箋により保険適用のものとなっていますし、本格的な煎じ薬をとお考えの方に対しても、約200種類の生薬の飲片が保険収載されていますので、かなりの処方に対応できます。但し、それぞれのケースに合った方剤をその生薬成分をひとつひとつ処方箋に書き、お渡しすることはできても、保険適用で調剤までしていただける薬局を探すのは大変です。

注)漢方薬専門メーカー各社で製法は微妙な違いがあるようですが、基本は実際にそれぞれの漢方薬の処方に従って生薬を煎じ、これを真空乾燥させて製品化する点で同じです。因に、この製法はインスタントコーヒーの製法に似ており、ですから、漢方エキス剤も、服用するときは、熱湯で粉や顆粒を溶かしよく撹拌しながら啜るように飲むのが正しいやり方です(インスタントコーヒーの粉や顆粒を口の中にいれ水で飲み込むひとはいないでしょう)。

Q. 漢方は効果が穏やかで安全であろうが、効果発現までには時間がかかるのでは?

A. 漢方薬にも副作用等有害情報の報告があります。効果発現までの期間は方剤によりかなりの違いがありますし、個体差も大きいです。驚くほど早く効果が現れることもしばしば見受けられます。


ところで荻本医院における漢方薬処方例はかなり偏りがあると申し上げなくてはなりません。小生のやり方を徒然なるまま認めます。

#メンタル系でよく使われる方剤である柴胡加竜骨は牡蛎湯は小生もよく使います。成書に従えば中間証以上の方ありますが、小生はもう少しスペクトラムが広い薬と考えて使っています。

#酸棗仁湯はあまり使いません。やはり多くの睡眠障害には手っ取り早くベンゾジアゼピン系、チエノジアゼピン系を使います。

#虚証で神経質な女性に加味逍遥散はよく使われているのでしょうが、小生は当帰芍薬散かそれよりも虚している場合は当帰建中湯、冷えが強い女性の方には当帰四逆加呉茱萸生姜湯を選ぶことが多いです。

#小生自身は葛根湯が大好きで、風邪気味のときはもちろんのこと、元気がなく(つまり一寸デプレッシヴなとき)、このままでは風邪を引いてより元気がなくなると思ったとき立て続けに(一日量で15から20gr)飲みます。麻黄の中枢刺激作用で元気になるものと思っています。胃の弱い人には勧めません。場合によっては小青竜湯の方がよい場合もあります。こちらも麻黄が入っていますので小生には合っています。

#自他(他とは患者さん友人たちです)ともにあまり好まないのは、いろいろのものが入っていて複雑な味のするものです。補中益気湯や十全大補湯、加味帰脾湯はあまり処方しません。

#メンタル系ではない処方例としては、当医にても、アレルギー性鼻炎(これからスギ花粉症はピークを迎えます)に対して小青竜湯はよく処方します。抗ヒスタミン作用のある抗アレルギー剤の眠気、だるさに弱い方(小生もそうです)は一度は試してみていただきたいです。

#片頭痛の治療はトリプタン製剤のように痛み始めてからでも使える薬が出てきて一新しましたが、呉茱萸湯(すごくまずいお薬ですが、このまずさが例えば片頭痛に伴う悪心を改善します。小生も昔は片頭痛持ちでした。当時はトリプタン製剤はありませんでしたのでこの呉茱萸湯をよく飲みました。あまりのまずさにオエッていう感じで逆に悪心が飛んでいってしまい、同時に頭痛も楽になるといった感じでした)を併用して患者さんからは結構重宝がられています。

#アトピー性皮膚炎は大塚敬節先生に倣い黄連解毒湯を主に使っています。

#患者さんのなかには小生より漢方のことをよく知っていらっしゃるかたもおられ、いろいろ小生にレクチャーしてくださり、勉強になることがあります。漢方薬を含め、薬の善し悪しは飲んでみなくては判らないのですから(黙って座ればぴたりと当たるといった大先生は別です)、患者さんたちの意見に傾聴する姿勢は医師として大切なことだと思います。


以上、漢方ということになるとメンタル系医療という枠に納めるわけにはいかず、本当に徒然なるままに認めました。
(2011.04.01)