ジャック・ラカン
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ある統計によると、ひとが一生の間にうつ病/うつ状態になる確立は20パーセントぐらいとあります(わが国だけでの発病率はもっと高いものと思われます)。意外と思われるかもしれませんが、トップページでのすべて項目 がうつ病に罹っていることで、現れてきたり、強く意識されるようになります。
■通勤途上、電車などで動悸がする、息苦しくなる、吐き気がしてくる、腹痛がきて便意を催す。またこれらの症状とともにあるいは前触れとして予期不安を感ずる。 一時代前、「仮面うつ病」という用語がしばしば使われました。身体症状を主に訴える患者さんのその訴えに惑わされて、つまりそれが仮面という表現とかさなるのですが、小生の大学院時代の主任教授は研究だけでなく臨床医としても大変優れたひとで、うつ病であることは顔を見ればすぐ判る。だから仮面(顔も作り笑いしていたりしますのでこれ自体も仮面なのです)そのものがうつ病の診断で重要なのだと教えていただきました。それほどトピックスにはなりませんでしたが、身体症状ではなく、神経症(現代風にいうとほぼ不安障害に一致します)様症状を主に呈するうつ病を神経症様症状でマスクされたmaskedうつ病と呼ぶようなこともありました。上記の強迫症状を呈するうつ病もこの例です。 逆に嫌なことがあって「滅入る」、「落ち込む」、「悲しい」のは正常な反応であることも多く、なんでもかんでもうつ病とするのも間違いです。 まず第一に「うつ病」ということばはdepression(英)、Depresssion(独)、dépression(仏)の日本語訳です。小生は保険診断名として、しばしば「うつ状態」を採用しますが、うつ病とうつ状態の違いは、うつ病は病名(専門用語では「疾病単位」という言葉に対応するものです)、うつ状態は症状(群)だとご理解ください。最近の日本はなんでも米国追従だと思っていらっしゃる方には、ややICDやDSMを擁護することとなるかもしれませんが(小生の本音はアンチICD, DSMではあります)、深読みすると、これらの国際基準はかならずしも米英中心主義ではないところも散見されます。米国追従は文書を深読みできない専門家の特徴だといえます。 1) 因に英文のWikipediaにはdepressionのサイトはなくMajor depressive disorderがこれに当たりますが、これを日本語訳では大うつ病と訳されていますので、大変な病気なのではないかと誤解をされます。このMajorは「基調となるのがうつ状態である」といった意味です。よく「心の風邪」と呼ばれますが、実際こちらの表現の方が実態に即していますので、「大うつ病」という言葉は無視してください。「よく心の風邪」と言われますが、風邪よりも治癒するのに時間はかかるものの、治療の開始が早くきちんと治療すれば、お仕事、学業を続けながらもまず半年以内に治癒します。 いろいろ書きましたが、「上司とうまく行っていない」、「朝床離れが悪い」、「朝、顔を洗うとき表情が固まっている。特に目の表情が硬い」と感じたらご来院ください。上司とうまく行っていないと思うのは既にうつ病が発病しているので、ネガティヴに考えてしまう
- そのこと自体が症状なのです。きちんと治療をして、生活上の負担を軽減すれば、2~3週間もすれば、「まあ、上司とは仲良しの関係ではないが、仕事上の関係なので、まあいいかっ」と思えるようになります。 |